地元で印象派展やってたので見に行きました。
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フランスで起きた芸術運動(描き方)が「印象派」。有名なのがモネとかルノワール。メインビジュアル(↑)の左がモネの「睡蓮」で、右がアメリカの印象派ハッサムの「花摘み、フランス式庭園にて」。
他国からフランスに来た画家が印象派を学び、自国に持ち帰ることで印象派は広まっていきました。そのアメリカ印象派の企画展。おもにウスター美術館(アメリカにある美術館)収蔵の絵が多く来ています。5章編成。
第1章 伝統への挑戦
保守的なアカデミーに反発してできた「印象派」の成り立ち・前身の絵が飾ってあるゾーン。印象派につながったバルビゾン派の絵が多めでした。コロー、クールベとか。バルビゾン派は森の絵が多い印象。茶色・緑色の絵が多くてどこか幻想的なイメージ。
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印象派ではないので、まだアカデミー寄りの絵ですね。遠目から見ると繊細に描かれてるように見えるけど、近くで見ると意外と描きこみが浅い絵が多め。明度のつけ方や描き込みの強弱が秀逸。
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見比べると「新古典主義」と「印象派」は筆使い・色使い・描く対象が全く違うので面白いです。この記事で印象派・ポスト印象派などの説明してます。
第2章 パリの印象派の画家たち
THE 印象派の絵が多めゾーン。モネ、ルノワールとか。メインビジュアルにもなっている睡蓮の絵もここ。
この睡蓮の絵を購入する際のウスター美術館と画商のやりとりの手紙もありました。「2万ユーロで買う」「絵を見ずに買うとはすごい」「モネは良い絵を描くから見なくても心配いらない」とか。どんな絵かも分からずに大金はたいてるので、「モネは素晴らしい絵を描く」の信頼の厚さが伝わるやり取り。現代でも「モネの睡蓮」は大人気ですからね。
ルノワールが描いた「闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール」の肖像画もありました。描かれた人はルノワールの友達&実業家で「この肖像画をとても気に入り、死ぬまで家で飾っていた」とコメントが添えられていてホッコリ。
第3章 国際的な広がり
本場の印象派を学びにきた国外の画家ゾーン。日本人の画家が多め。
黒田清輝もいました。個人的に黒田清輝に印象派のイメージはなかったんですが、飾られてあった「落葉」「草つむ女」には印象派っぽい要素を感じたので、画風が確立する前の絵ですかね?
山下新太郎という画家はルノワール大好きなようで、飾られていた「供物」という絵の筆跡や色の選び方がかなりルノワールでビックリしました。ただ、描く対象が黒髪の日本女性というルノワールが描かなそうな対象だったので違いが分かったり。
第4章 アメリカの印象派
フランス本場の印象派を学んでアメリカに持ち帰り、印象派の技法を生かしつつも独自の描き方を始めたアメリカの画家ゾーン。
個人的に「ジョゼフ・H・グリーンウッド」の絵がとても好きでした。「リンゴ園」「雪どけ」の2点ありましたが、キラキラした光を感じて彩度高めな色使いが綺麗。部屋に飾りたい絵。
「リンゴ園」の木の光部分は絵の具が盛られ、照明の光と反射して本当にキラキラして見えたのがとても良かったです(絵は画像検索してください)。
グリーンウッドの絵を用いたグッズは何点かあったんですが、実物の良さを見てからだと印刷に良さが反映できていなくてウ〜ン…になって買いませんでした。実物が良すぎた…。
第5章 まだ見ぬ景色を求めて
印象派の流れを汲みつつ、新たな芸術運動の動きが出てきたゾーン。キュビスムに近くなってきた頃の絵。セザンヌ、ブラックとか。
横で見てた人がブラックの絵を見て「キュビスムみたい」って言ってましたが、ブラックはピカソと同じ「キュビスム創始者の1人」なので、ある意味本人なんですよね。日本だとブラックの知名度が薄めですが、すごい人です。
ブラックの絵は「オリーヴの木々」が飾られていました。キュビスムが確立する前の絵なので、描いている対象は分かりやすかったです。
↑これのポストカードの絵が「オリーヴの木々」。キュビスム時代のカクカクした絵と比べて描いてあるモチーフがちゃんと木って分かりますね。色もカラフルで綺麗です。
まとめ
「印象派といえばモネ!ルノワール!」の展示が多い中、印象派の前後の絵を一連の流れとしてまとめて見れたので良い企画展でした。
アメリカの印象派はフランスの印象派と比べて彩度がちょっと高めなんですかね?モネやルノワールはモワモワした筆つかいですが、アメリカの印象派は彩度が強めで筆跡もクッキリしていたと思います。
印象派の技法を生かしつつも独自の画風を考えたり、全く新しい路線にいったり、そのまんまの人もいたりしたのが分かって良い企画展でした。
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八王子の東京冨士美術館(7/6〜)、大阪のあべのハルカス美術館(10/12〜)と巡回するようなので、お近くの方はぜひどうぞ。