自分が色使い良いな〜と思ってる画家たちのまとめ。
色使いが好きな画家
自分はポール・ゴーギャン、モーリス・ドニ、オディロン・ルドン(晩年)の色使いが好きです。大まかに言うと「ポスト印象派」に属している画家の色使い。細かく言うと「ポン=タヴァン派」「綜合主義」「ナビ派」。(「◯◯派」の意味は後述します)
特徴は「平面的で、鮮やかな色を使い、内面・心象を描く」こと。つまり「見たまんま描くより、自分が感じたままに描こうぜ!!」な人たち。
ポール・ゴーギャン(左)はポスト印象派に重要な画家。鮮やかで力強い絵。
モーリス・ドニ(中央)はナビ派。鮮やかで柔らかな絵。
オディロン・ルドン(右)は象徴主義ですが2人と同時期の画家。夢の世界を描く幻想画家。
ポール・ゴーギャン
特に色使い好きだな〜と思うのがゴーギャンなので、絵の時系列を大まかにまとめました。
初期の「印象派」時代と「ポスト印象派」時代の絵を見比べると、色使いが鮮やかになったのが分かります。見た感じ1885年あたりから鮮やかになったような?この時期にポン・タヴァン村に移動したようです。
ゴーギャンは滞在場所を転々とし、各地で影響を受けるのか作風やモチーフが変わりがち。それでも一貫しているのが「平面的、鮮やかな色使い、内面を描く」こと。
ゴーギャンの絵は「パッと見だけで色を感じる」のが好きなポイント。他のポスト印象派の画家と比べてもダントツで色が鮮やかで配色も綺麗な気がします。
作風の違い
描き方・作風の違いで「◯◯派」「◯◯主義」と分類されますが、現代でも諸説あったり、同じ画家でも時期によって変化するのでややこしめ。区別が難しいので大まかに捉えるくらいで良さそう。
ポスト印象派は「平面的で、鮮やかな色を使い、内面・心象を描く」のが全体的な特徴です。
上記にはポスト印象派の前身である印象派の絵も入れてあります。
印象派の理念に合わなくなった画家たちがポスト印象派になったので、名前は似てても「印象派」と「ポスト印象派」は理念が逆。筆使いに名残はありますが、色使いや描く対象に大きな違いがあります。
「移り変わる時の一瞬を描く(時間経過による光の違いを描く)」グループ。
「時間の光」を描くので色使いは現実寄り。モネ、ルノワールが有名で日本人気も高い。
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モネのルーアン大聖堂を見ると「移り変わる時の一瞬を描く」の意味が分かりやすいです。大聖堂を同じ場所から時間と天気が違う時に描いた連作。
この光の違いを描きたい画家たちが印象派。「現実の光を描く」ことが理念なので、「内面・心象風景を描く」ポスト印象派と真逆なことが分かります。
この連作は30点以上あるので、モネがその絵を描いた日の時間や天気を想像しながら見ると面白いかも。
作風ではなく、「印象派から影響を受けつつも、印象派のスタイルから抜け出し新たな作風を模索・確立しようとした画家全般」を指す。
ポスト印象派の中にポン=タヴァン派やナビ派などが含まれます。そのためポスト印象派で調べると作風がバラバラ。共通点は「平面的、鮮やかな色使い、内面を描く」こと。
ポスト印象派の一部。これも作風というより「ポン・タヴァン村に滞在していた画家の絵全般」の意味に近い。ゴーギャンとベルナールがポン・タヴァン村で生み出した作風が綜合主義(クロワニズム)と言われています。
より内面性・神秘性を強めた作風。絵画にしか出来ないこと(誇張)を重要視した。象徴主義にもつながる。
*象徴主義(シンボリズム、サンボリズム)=題材が庶民や風景画ではなく、目に見えないものを描く作風。ルドン、クリムトなど。
ゴーギャンは若い画学生に次のようなアドバイスを与えた。「これらの木々がどのように見えるかね? これらは黄色だね。では、黄色で塗りたまえ……」。同じように、影は青(ウルトラマリン)、葉は赤(ヴァーミリオン)、と目に見えた色彩をそのままではなく、心象に従って描くように彼は勧めた。
それは、「写実」を重んじるアカデミーの教えとはまったく異質なものだった。その結果、縦横ともに30センチにも満たない小さな画面の中には、いままでセリュジエ自身が見たことのない不思議で魅惑的な世界が広がっていた。
引用:美術手帖 美の預言者「ナビ派」が追求した新たな美の世界(https://bijutsutecho.com/magazine/insight/3343)
「ナビ派」はポール・セリュジエという画家がゴーギャンの考えや色使いに惚れ込み、その教えを別の画家たちに広めたことから始まりました。
セリュジエの絵は実物を見たことがあります。美術館の特別展で来ていて、「好きな絵だな〜」と思って作者を見たらセリュジエでした。
巡回展
このセリュジエやゴーギャンの絵が見れる巡回展が2023〜2024年にかけて日本各地で開かれています。地元にも来ていたので行きました。話題に出しているちょうどこの時代の画家の絵が集まっています。
印刷では分からない筆跡の凹凸を直に鑑賞できたので良かったです。地元では写真OKだったので見返してます。
ポール・セリュジエ《ル・プールデュの老婦人》1889-93年
次は2024年3月1日から愛知県の豊橋市美術博物館で開かれるそうです。色が綺麗な絵が好きな人にオススメ。
東京にある三菱一号館美術館にはルドンのグラン・ブーケという2m以上ある大きな花の絵が収蔵されています。花瓶の青が鮮やかな絵です。
現在は長期工事中ですが、今年の秋に終わるようなので終わったら見に行きたい。
まとめ
自分はパッと見で「色」を感じられるのが好きなんだなと思いました。
現実には無い・ありえない色で描いてる方が「絵にしかできないこと」をしていて良いなと思いますし、作風の違いが画家の想像力に直結してる感じも面白いので。
ただ後世に出てくるキュビズム(ピカソの絵とか)くらい不思議な絵になると、最初の印象が「分からん&考察」になるので、初見では単純に「きれいだな〜」を感じたい自分にはちょっと違う感じ。なので「形はデフォルメされてるけど何描いてるかは理解できて色が鮮やか」なポスト印象派が自分にちょうど合ってるのかなと思いました。
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あの色使いを取り入れてみたいと思って描いても、鮮やかにし過ぎてビカビカになったり現実と違う色で塗ると最終的にどう見えるか想像しづらいんですよね。簡単そうに見えて意外と難しい。彩度の勉強かな…。
今回は「色使い」が好きな画家の話をしたので、次は自分が好きな「怖いけど綺麗な絵」を描く画家の話をしようかなと思います。