「絵画に描かれている物の意味」についてまとめられた本。
難しい言葉が使われていないので読みやすいし、面白かったです。
アトリビュート=象徴
タイトルにもある「アトリビュート」ですが、「暗号」というより「象徴」と考えた方が自分は分かりやすかったです。
今でも「鳩=平和、山羊=悪魔、ユニコーン=処女性」みたいに「これと言えばこれ!」なイメージありますよね。それを「アトリビュート」と言うようで。
でも馴染みが無い言葉なので文章中に「アトリビュート」が出てきたら「象徴」に置き換えて読んでました。
絵に女性が2人いる絵
1人は「剣」と「書物」を持っている女性。この2つは戦いと知恵の女神アテナの象徴。
1人は「*ギンバイカの枝」を持ち「綺麗な服装」の女性。この2つは愛と美の女神ヴィーナス(アフロディテ)の象徴。
名前が書かれてなくても、何が、誰に該当する持ち物なのかが分かれば、描かれた人が分かるようになる感じ。大昔から「この人といえばコレだから一緒に描くか!」って概念があったのは面白いですね。
*ギンバイカ(銀梅花)はヴィーナスの聖花。今でも結婚式によく使われているので「愛」のイメージが続いてますね。
「蛇」が描かれた絵
- アダムとイヴに出てくる「蛇」は、神に禁止された禁断の果実をイブに食べさせようと唆した動物=邪悪、原罪、神を裏切る象徴
- 蛇はイヴを唆し、イヴはアダムに禁断の果実を食べるように勧めた=女性+蛇で描かれた絵=ファムファタール(男を破滅させる魔性の女)の象徴
ただ、アトリビュートの意味は誰と描かれているか、描き方がどうか、でも変わるようです。
な感じで。
悪い意味で扱われることもあれば、良い意味でも扱われることもあったり。日本でも普通の蛇は嫌われがちですけど白蛇なら縁起が良いとされてますからね。
ミロの「ヴィーナス」?
有名な「ミロのヴィーナス」は腕が無い状態で発見され、今でも腕が見つかっていません。そのため「何を」持っていたのか分からない=この女性像が「誰」なのかを示すアトリビュートも無いということ。
ミロのヴィーナスが発掘されたミロス島は他にも*ポセイドン像などが出ているので、ギリシャ神話の女神の誰かだろうとは言われているそうです。
「めちゃくちゃ美人だから最高の美神であるヴィーナス!」の説が有力らしいですが、いかんせん何を持っていたのか分からない。ギリシャ神話にはヴィーナス(アフロディテ)、ヘラ、アテネの三美神がいます。黄金のリンゴを持っていたらヴィーナス。ザクロだったらヘラ。盾だったらアテネ。とそれぞれにアトリビュートがあるので、腕が見つかれば本当に「ヴィーナス」かどうか判明するんですけどね。
この像がどの女神なのか議論してる最中に、収蔵してるルーヴル美術館がいろいろあって「ミロのヴィーナス」と勝手に命名して広まっちゃったんだとか。
*ミロス島のポセイドン像はしっかりポセイドンのアトリビュートがあったからポセイドンで確定したとか
まとめ
今でも理解できる要素があるので面白く読めます。花言葉とかカクテル言葉を調べる人、キャラクターの持ち物の意味を片っ端から調べる人に向いてそうな本。
この本は1600年代くらいまでの西洋絵画がほとんど。ルネサンス?のが多めかと。アジアや中東などの別地域の絵、近代の西洋画はほとんど載っていないのでそこは注意。宗教画が多いのでそれのアトリビュートがメインになります。